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2009.03.08

能登和倉万葉の里マラソン2009

090309notojimaoohashi
(ランナーで埋まる能登島大橋-大会サイトから拝借)

吊った鈍足を引きづりながら、べた凪の七尾西湾沿いをゴールを目指してもう走っているとはいえない風体の35km地点。能登島内のアップダウンで、プリンスロードのMさんからココで無理すると地獄を見ますよという趣旨のそれとない忠告が今になって身にしみる。先ほどまで見えていためざすゴールの温泉街は岬の影に隠れてしまった。

がっくりきてふらふらになりつつも周りのランナーを観察していると、マラソンは人生の縮図であるとしみじみ感じる。完全に失速した私を次々とパスしていくランナーは、しっかり前半で押さえて後半に備えていた人だ。小柄なおばちゃんランナーがすたすたと無理のないフォームで私を抜き去っていく。でも、なかには私と同様ペースを乱してしまった人も少なからず見受けられる。

吊った足をストレッチとそこそこの走りを頻繁に繰り返している人は、今日がたまたま不調だったんだろうか。仲間の応援にバツが悪そうだ。また、完全な遠足モードとペース走を繰り返す茶髪のにーちゃんは、走り出せばいいペースなのに、疲れるとすぐ歩きに入ってしまう。私はよいアドバイスを受けていながら無理して後半自滅。補給地点以外は歩かないぞと妙な意地を張っていたのはよいけど、ゴール100m前でストレッチを始めてしまった。

沿道には、穏やかな春の一日になったとはいえ、まだ風が冷たい中多くの人が応援してくれた。トップが通過してからも2時間近く経過しているハズなのに、元気な子供たちが停留所の屋根に上がって大きな声を張り上げながら旗を振っている。でも高齢化が進んだ漁村を巡るコースなのでお年寄りの控えめなでも暖かい応援が大半だ。自転車レースの場合、応援してくれる人の顔は、ヒルクライム以外はほとんど判別できないが、マラソンははっきり分かる。そしてみんなそれぞれの思いで目指すゴールはひとつ。

フルマラソンを目指したのは、東京マラソンに出たいと単純に思ったのがきっかけ。10月から少しずつジョギングを開始した。応募はしたものの、競争率8倍の難関の前に案の定敗れ去ってしまった。ここでいったんやる気をなくしてしまったに見えたが、自転車仲間のランナーからフル心得を聞いたり、ローラができない体質故、ランで夜走りできる楽しみを少しずつ見いだして行くにつれ年末にはこの能登のマラソンにはエントリしていたと思う。

まずアドバイス通り、月200kmを目指すが日に5km程度しか走った経験のない私には高いハードルだった。その前に一日に最低10kmは走れるようになるところから始めることにした。心肺は自転車で鍛えているから苦しくはないが、足がなかなかついてこない。でも、雪のない今年の夜の外走りは楽しかった。星空にも多く恵まれバタバタしていた年末年始を何とか乗り切れたのもこのリフレッシュランのおかげだったのかもしれない。

マラソンを意識した20km走は今シーズン2回ほどやった。1回目は今回の本番同様まめができて歩いたので、ほんとはやったとはいえないが、2回目の20km走は起伏の激しい森林公園の加賀ロード周回コースを顔を真っ赤にして追い込めた。でも、1回しかやっていないんだよなー。これは今から思えば少なすぎ、最低週1ペースで実行する必要があったでしょう。しかし、当人は練習不足の不安はあまり抱かずに、日々の10km走もだんだん楽にこなせるようになったこともあったし、大会サイトで5千人あまりの参加者があるのを知って、これはお祭り気分で楽しめるわいと無邪気にその日を指折り数えて喜ぶばかりであった。

そして、本番の今日。自宅から少々距離はあるものの受付は9:30まで、スタートは10:00とローカルのレースにしてはずいぶん遅めなのでほぼいつものタイミングで起床、朝食を取ってのんびり会場へ向かう。会場の和倉温泉は押すな押すなの人の波。県内にいてこんな人を見たのは久しぶりだ。軽くアップして、持参のBCAAともらったBCAAの2包を一気飲み。目標タイム4時間~5時間の集団中程に潜り込むことにした。

序盤は徹底的にペースを抑えることに決めていたが、同じ目標タイムの人たちにどんどん抜かれていく。ペースはそんなに悪くはないのにねー。心拍計は160付近。BCAAの飲み過ぎで興奮しているのかしら?温泉街を抜けて能登島大橋にさしかかる。まっすぐに伸びたこの橋は封鎖されていて、連なるランナーの波のような有様は圧巻だ。そこで冒頭のMさんに声をかけてもらった。聞けば4時間を目標に走られるそうで、私の目標とほぼ重なる。ついて行けば自然と目標達成だ。しかし、まだ心拍が下がらない。島内のアップダウンのうちはできるだけ疲労物質の乳酸を発生させない走りをするつもり。ここは理性が勝っていて一度Mさんを見送ることにした。しかし、いったん能登島東側で折り返してきた先行ランナーたちとご対面となると、悪い癖で頭のねじがピンとひとつはずれてしまった。

上空にはヘリコプターがホバリングしているし、水面からランナーの疾走をとらえようとしているカメラのボートも鏡のような海面を滑っている。そうこうするうちに、見慣れたジャージのランナーが真っ正面に見えてきた。プリンスロードのぶーすけさんだ。これはかなりはやいぞ!すぐにラブ・バイクの森下さん、しばらくするとトンデモクラブのONIXさんとshi-zuさんもやってきた。折り返しはまだかまだかと気ばかり焦る。ようやくツールドのとの2日目ゴールのどんづまりで折り返しとなった。

ここからの島内はアップダウンの応酬ではできるだけ有酸素で抑えると固く誓っていたのにもうだめ。先行していたMさんもロックオンしてパス。次第にペースが上がっていったようだ。登りはまだ抑えめにしていたが自転車乗りの習性からか下りは休めるという観念ができていたのも災いしたと思う。実際、結構なペースで下っていても心拍はあまり上がらない。しかし、下りは知らない間に足の力を奪っていくらしく、しだいに足が笑っていくようになる。こんな感覚は30年前の中学生の時以来だろうか。いやーな予感がした。

それでも、2つ目の大橋ツインブリッジを抜ければあとは平地。あと20kmを淡々とこなせばゴールだともくろんでいたが、もう足には力が残っていなかった。何とか回復しようと少々向かい風の中、大柄のランナーの後ろにつく。彼は余裕のあるウインドブレーカーも着ていたのでドラフティング効果はあったと思う。その彼とはレース後帰り道一緒になったので一言礼を述べたが、後ろについていたことはしっかり認識していたそうである。そんな風切り音もないから足音が真後ろで聞こえればあんまり気持ちのよいものではなかっただろう。

内地に帰ってきて最後の登りをこなしたところで完全に足が止まった感じ。30km手前あたりであろうか。お昼も回ったが、バナナやパイン、パンなどが頻繁に出てくるのでそう空腹感はない。食べ過ぎなのか一度思いっきりげっぷをしてしまって、女性ランナーに怪訝な顔をされる。のんびり立ち止まって補給をしているランナーはどうか知らないが、私の見る限り走りながら食べている人はあまり見かけなかったなー。その一方で、大皿で差し出される塩の山にはみな必ず指をつっこんでいた。たしかにゴール後顔をなでると、まだ寒いのにもかかわらず吹き出した汗の塩がぱらぱらと落ちて来たのだった。

また塩分欠乏の影響なのか指先が後半ずっとしびれていた。私は寒さ対策のため自転車用の指付きグローブをしていたが、素手のランナーも少なくない。それどころかノースリーブのジャージや生足を出して走っている人もいる。私は終盤になると心拍数も140を切るようになり、前半のぽかぽか感は失われ海を渡ってくる風に吹きさらしになるコースで寒ささえ覚えていた。しかし、ハアハア言いながらの決して楽ではない呼吸であったと思う。

冒頭にも書いたけど、公言していた目標は「完走」だから、補給時以外歩くことはしないと心に決めていた。とはいっても亀のような走りでどんどん後続にもパスされた。小指にできたまめをかばう走りになっていた左の足のハムストリングが吊ってしまってストレッチも何度かした。そんなときに海をわたって聞こえてくる太鼓の音の主は、ツインブリッジで元気に踊って応援してくれた高校球児たちのであったであろうか。謙信が能登攻略の時に御陣乗太鼓に恐れおののいたというのもうなずけた。

35kmを過ぎた当たりからは、もういつものランのコースを思い出して、残りの距離とベンチマークを頭の中で照らし合わせていた。あのポストのあたり、あの温度計のあたり・・・。七尾西湾はクルマが少なくて、道もよい自転車で何度か走ったことがあるまことにすばらしいコースであったがこんなに長くつらい道のりであったのか。ようやく向かい風から解放されていったん岬の登りにはいるが、これが疲労しきった足にはまたたまらなくつらい。みんな歩いているが、おれは亀の歩みだが歩かない。完走するのだというもう意地だけが頭にこびりついていた。下りから温泉街へ入ってようやくあと1km表示。

温泉旅館のきれいな女将さんが応援してくれている。3度目ぐらいの足つりでもう止まりそう。コースは温泉街を迷路のように縫って走っていてゴールがなかなか出てこない。コーナを何度かクリアしてようやく"Finish"の横断幕が見えたところでまた足が吊った。ストレッチして最後のリスタートしてようやくゴール。計測チップを外そうと座り込んだがしばらく立てなかった。

結果、公言していた「完走」は多少休みをいれたものの何とか果たせたが、密かに抱いていた4時間切りには36分と遠く及ばず惨敗だ。まあ、能登島内で抑えていてもとてもこの目標はクリアできなかったであろう。来年はもっと走り込んでまたこのすばらしいコースに戻ってくるつもり。大会運営も能登のもてなしの心が行き届いたすばらしいものだった。海鮮鍋も牡蠣もうまかった。冬場のランはこれで終了。さあ自転車に乗るぞ!

5km毎通過記録、スプリットタイム
km 記録 スプリット 区間平均 累積平均
5km 00:30:21 6.07分/km 6.07分/km
10km 00:59:47 29:26 5.89分/km 5.98分/km
15km 01:26:49 27:02 5.41分/km 5.89分/km
20km 01:55:21 28:32 5.71分/km 5.77分/km
25km 02:25:22 30:01 6.00分/km 5.81分/km
30km 02:59:59 34:37 5.89分/km 6.00分/km
35km 03:36:49 36:50 7.37分/km 6.19分/km
40km N/A N/A N/A N/A
42.195km 04:36:52 N/A 8.35分/km 6.56分/km
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コメント

mattaさん、ご無沙汰しております。
近所の富士太です。
フルマラソン完走、お疲れ様でした。

自分も十数年前にトライアスロンをやっていた頃は
ランの練習もしてました。
(と言っても月にわずか100kmくらい。スイムとバイク優先でした。)
ハーフマラソンを走ったことはありますが、フルを走ったことはありません。
自分もいつかフルマラソンに挑戦したいと思います。
その節はよろしくお願いします。

投稿: 富士太 | 2009.03.09 21:39

◆富士太さん、何とか怪我をせずに帰って来られました。今までトライアスリートは意識したことは有りませんでしたが、もうちょっと走れるようになれば考えが変わってくるかもしれませんね。このご時世で自転車にも乗れるお時間もとれましょうか。今年こそご近所朝練をやっていきましょう。よろしくお願いします。

投稿: matta | 2009.03.10 20:22

mattaさんおつかれさまでした。
フルを完走されただけでもすごいと思います。
来年こそは私も出たいです。

当日、私は金沢某所で、あるスポーツの応援をしてました(もしかしたらご存知のチームかも)。
選手たちのプラスアルファのパワーを引き出せる
ように考えながら、またお客さんを楽しませるのに
ちょっと頭を悩ましてましたね(^^;

もうすぐチャリ通勤を再開予定です。
また押水バイパスあたりでお会いするかと思います。
楽しみです。

投稿: hiddy | 2009.03.12 21:15

◆hiddyさん、ありがとうございます。来年こそ是非どうぞ。評価サイトをみてもこの大会はいい成績出しています。なによりサポートする側、応援する側のもてなしの心が伝わってきます。初回の新鮮さもあるのかもしれませんが、長く続いてほしいですね。

投稿: matta | 2009.03.13 20:12

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