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2007.12.15

ペダリスト宣言!

Pedalistいつだったろうか明治時代に行われた自転車レースをモチーフにした小説「銀輪の覇者」が出たとき、作家、斉藤純氏の名を初めて知った。一般の人たちの認識ではまだまだ「自転車競技=ケイリン」の現代において、自転車ロードレースが100年前の日本で今のF1のような国民的人気を博していたとされるこの物語の背景説明には、自転車を愛好する者の一人として、非常に興奮させられた。しかし、なかなか読む機会がなかった。

そして先日、q.M.pさんのブログで斉藤氏の自転車本「ペダリスト宣言!-40歳からの自転車快楽主義」が出たと知り早速書店へ走り、買って読んでみた。これまで少なからず自転車本を読んできたつもりだが、やはりプロの物書きの筆による本書は安心して読んでいられる。そういった点では、伊藤礼氏の「こぐこぐ自転車」も同様で、まったく危なっかしいところがなくて、落ち着いた筆致。で、なおかつウイットに富んだ文章は時折読み返し、使ってもいない頭を優しくいやしてくれた。

この「ペダリスト宣言!」は力の抜けた老練な伊藤氏の文章とはまたことなり、まだまだ「若い」脂ののった力強い文章が全編にわたって響く。多少、自転車を乗り込んだ人には前半の「快楽主義」に退屈するかもしれないが、ちょっと我慢して読み続ければ、この「快楽」の真の意味が後半強く響いてくると思う。

私が特に興味を覚えたのは冒頭の氏の小説「銀輪の覇者」の背景となった史実の紹介。100年前の日本各地でプロの自転車レースが行われていたのだ。結局、プロ容認以前の政治まみれのオリンピックの陰に隠れてしまったこのロードレースが如何に小説に描かれているのか一層楽しみになってしまった。次におもしろかったのは、明治以降フランスに渡った文化人が、なぜツール・ド・フランスについて何も語らないのか。確かにそうだ。この辺はオリンピックに対する国策のベースとなった日本人のメンタリティを匂わせたように感じたのは、私だけだろうか。

後半に向かって、著者の自転車を介した自然体の交通問題、まちづくり、地球環境問題対する考え方だけない実践そのものが展開され「真の自転車の在りよう」が語られる。しかも、東京発信ではない盛岡という地方都市からの視点が、同じ地方にいる身としては共感させられる。この点はこれまでの自転車本になかった視点だ。オススメ!私をリアルで知っている人にはお貸ししますよ。ただし、私はお風呂で本を読む悪癖を有するので多少しなびてますが。

昨今の自転車本ラッシュは、前にも書いたけど、私が自転車に乗り始めた7年前とは隔世の感がある。でもただの一時的な自転車ブームなどではなく、「平成のオイルショック」や温暖化などすべての問題解決にむけ、時代が自転車を待ち望んでいる気がする。もちろん、自転車だけで解決できる問題ではない。でも筆者も書いているようにすくなくとも自転車がすべてを「見直す」きっかけになる。私もそう直感しているのもあって、少しづつだけど乗り続けているのだと思う。

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コメント

なかなか面白そうな本ですね.
mattaさんの説明を読んでいたら,小説「銀輪の覇者」の方が気になってしかたありません.ロードレースを描いたものだと聴いていたのですが,そんな背景のある小説でしたか.
最近,自転車がモチーフの書籍に興味があるのですが,そのまえに読まないといけない本が沢山あって嬉しい悲鳴です.

投稿: yanz | 2007.12.17 19:27

◆yanzさん、コメントありがとうございます。わたしも「銀輪の覇者」はフィクションだろうと思っていまして、この本を読んでから、俄然楽しみになって来ました。「サクリファイス」も気になってます。やはり日本の作家が語る日本語が一番こころに染みますね。

投稿: matta | 2007.12.17 22:09

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